ABW(Activity Based Working)導入前に知っておきたいポイント

近年、働く従業員それぞれのライフスタイルに合わせた多様な働き方を企業が推奨するようになりました。働く時間や場所を従業員が選べる、柔軟な働き方を提供する職場戦略の一つとしてABWがあります。本記事では、ABWの具体的な導入事例を紹介するとともに、そのメリットや導入前に知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。

近年、多くの企業が働き方改革を進めるなかで「ABW(Activity Based Working)」という働き方が注目を集めています。従来の座席が固定化されたデスクワークから脱却し、業務内容や気分に応じて従業員が自らが働く時間や場所を選択できる、新しいワークスタイルです。

ABWにより、従業員の働きやすさや業務効率が向上し、結果として企業の競争力が高まることが期待されています。ABWの導入によって具体的にはどのような効果があるのか、また、導入の際に注意すべき点は何かなど、気になることが色々とあるでしょう。本記事では、ABWを導入した企業の具体的な事例を通じて、ABWのメリットや課題、成功するためのポイントを解説します。

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ABWとは?

ABWとは「Activity based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」の略です。従業員自らがその日の業務内容やタスクに合わせて働く場所と時間を自由に選択することができる、革新的なワークスタイルを指します。

従来のオフィス環境では、従業員は固定化されたデスクで企業が決めた時間に働くことが求められていました。ABWを導入することで、従業員を働き方や空間・時間の制約から解放し、個々のライフスタイルやタスクの優先度によって、自らの意思で自分が働きやすい環境を選ぶことができるようになり、よりフレキシブルで効率的な働き方を促進します。

ABWのコンセプトは、個々の業務やプロジェクトの性質によって最適な働き方は異なるという理念から生まれたものです。たとえば、集中を要する作業には、静かな環境での作業が適しています。一方で従業員同士のコラボレーションを重視するプロジェクトでは、オープンな空間でのコミュニケーションが業務効率を高めることもあります。

ABWは、それぞれの業務内容に合わせて最適な環境を選べるようにすることで、従業員の満足度を高めつつ生産性も向上させることを目的としています。結果として、企業全体のパフォーマンスを向上させることにもつながります。

またABWは、デジタルテクノロジーの進展とも密接に関連しています。クラウドコンピューティングやモバイルデバイス、高速インターネットなどの普及により、今や従業員はオフィスの外でも効率的に働くことが可能となりました。ABWは一連のテクノロジーを活用し、働き方の多様性と柔軟性を追求する動きと言えるでしょう。

ABWを導入するメリット

ABWを導入するメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。

  • 業務の生産性の向上
  • 企業のコスト削減が可能になる
  • 優秀な人材を採用しやすい

順番に見ていきましょう。

業務の生産性の向上

ABWは、従業員がそれぞれの業務内容や状況に応じて最適な作業環境を選ぶことを可能にします。結果として、個人やチームの生産性が大きく向上することが期待できます。

資料作成などの集中が必要なタスクを行う際には、黙々と業務に取り組むことができる静かな環境を選択することが可能です。従業員は集中力を高め、最適な状態でタスクに取り組むことができます。もちろん、他の人の声が聞こえるくらいの環境の方が仕事の効率が上がるという人は、そういう場所を選択してかまいません。

またチームメンバーと意見交換する方が業務がはかどるようなプロジェクトの場合は、メンバーが集まることができるだけの広さのある共有スペースを選択することもできます。

従業員が自分のライフスタイルや体調に合わせて働く環境を選びたい場合にも、ABWは効果的です。働く場所や時間をフレキシブルに選択できるため、無理のない形で業務を遂行することが可能です。

働きやすい環境を選ぶことによって気持ちよく働ければ、従業員の業務に対する意欲を高めることになり、企業の生産性の向上にもつながります。従業員の働きやすさを第一に考えることが、結局のところ企業を成長させる強力な要因になるとも言えそうです。

企業のコスト削減が可能になる

ABWの導入は、企業のコスト削減にも大いに寄与します。

ABWが導入されることにより、従業員は業務内容や自分のライフスタイルなどに合わせて働く場所と時間を選ぶことができるようになります。在宅勤務やオフィス外のコワーキングスペースなどの利用を選択する従業員が増えれば、その分だけ職場の専用デスクや電話機などのオフィス機器を減らすことができます。それはオフィスの電気代や光熱費、水道代などの削減にもつながります。

さらに通勤費の削減にもなり、従業員がさまざまな場所に分かれて業務をするようになれば、連絡にはICTを利用することになるので社内文書や資料のペーパーレス化が必至になって、ペーパー代の節約にもなります。

ABWの導入は、結果的に企業全体のコスト削減を実現することになります。

優秀な人材を採用しやすい

ABWの導入によって、魅力的な働き方を提供している企業だということが知られれば、それだけ優秀な人材が集まりやすくなります。

ABWの導入により従業員にとって働きやすい環境を提供できれば、離職率が少なくなるのも大きなメリットと言えるでしょう。働きやすい環境が実現できていれば、すでに社内で働いている優秀な人材が転職を考える動機は激減するはずです。優秀な人材の流出を防ぐ効果を期待できるのも、ABW導入の利点です。

ABW導入時にありがちな課題

ABWの導入は個人や企業に多くのメリットをもたらしますが、同時にいくつかの課題も伴うことを知っておくべきです。代表的なものとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 従業員の行動がABW導入前と変わらない
  • 業務進行管理・労務管理・勤怠管理が難しい
  • コミュニケーションの機会が減る可能性がある

いずれも導入前にしっかり考慮すべき点です。以下に解説しますので、しっかり把握しておきましょう。

従業員の行動がABW導入前と変わらない

従業員それぞれが「自ら働く場所と時間を選択する」ことがABWの理念であり、その結果として企業全体の生産性を向上させようというのが目的ですが、その理念や目的を従業員が正しく理解できていないために、ABWの導入後も従来通りの行動をしてしまうケースがしばしば見られます。

従業員が任意に働く場所や時間を選べる環境では、いつも同じ席で仕事をしていたり、いつも同じ顔触れのメンバーが同じ場所に集まったりと、ABWの理念に逆行するケースが起こる可能性があります。

ABWを導入する目的は何か、目的を達成するために一人一人はどう行動すべきかということを、従業員が自律的に判断できるように周知させる場を設けることが、ABWの導入を成功させるためには大切です。

業務進行管理・労務管理・勤怠管理が難しい

ABWの導入は、在宅勤務やオフィス以外のコワーキングスペース・サテライトオフィスなどの利用によるテレワークの増加にともない、企業における業務進行管理や労務管理、勤怠管理などが難しくなる可能性があります。

同じ部署の者やプロジェクトのメンバーが別々の場所や時間に業務を行うようなると、上司が部下の業務の進捗状況を把握したり、リーダーがメンバーがやっている業務内容を把握することができないという状況も起こり得ます。業務進行を管理するためのルール作りや、管理ツールの導入を検討する必要もあります。

業務進行管理が難しくなると、従来からの評価システムでは正当な勤務評定ができなくなるため、ABWに適合した従業員に対する評価システムを準備しておくことが必須となります。

オフィスワークやテレワークを選択した従業員の勤怠管理を一括して管理することも難しくなるため、出社の有無や勤務時間を管理できるツールの導入や報告システムの構築が必要になる場合もあります。

コミュニケーションの機会が減る可能性がある

ABWは従業員に柔軟な働き方を提供するものですが、一方で従業員同士のコミュニケーションの機会を減少させる可能性もあります。

従来のオフィス環境では、従業員が同じ場所で日常的に顔を合わせるため、自然にコミュニケーションが生まれていました。しかしABWの導入により、従業員がリモートで作業する時間が増え、オフィスで顔を合わせる時間が大幅に減少し、自然な交流の機会が失われる恐れがあります。

従業員間のコミュニケーションの減少は、チームとしての連携や協力のレベルを低下させることにもつながりかねません。特にプロジェクト遂行中のコミュニケーションが減少してしまうことは、プロジェクトのスピードや成功率の低下を引き起こすかもしれない深刻な問題といえます。

コミュニケーションが不足する問題に対処するには、企業としてコミュニケーションを促進するための明確な戦略や、支援するツールを提供する必要があります。タイムリーなチームミーティングの設定や、コミュニケーションプラットフォームの導入、各種イベントの提供などの対応策が考えられます。

ABWの導入と必要十分なコミュニケーションを両立させることで、企業としていっそうの成長を図ることが可能になります。

ABWの環境構築はworkhubにおまかせを

ABWの導入は、従業員の生産性を上げるとともにワークライフバランスの充実を図るという、企業にとって有意義なアプローチであり、多くのメリットをもたらすものです。従業員は業務に対してより自律的に取り組むことができ、生産性と仕事に対する満足度を向上させることが期待できます。

しかし、ABWの環境を適切に構築するのは容易ではありません。効果的なコミュニケーションツールの選定や、情報セキュリティポリシーの見直し、業務管理システムの構築など、多くの対応が必要となります。

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ABWの導入と環境構築は、組織の働き方を根本から変革する重要なプロジェクトです。ABWを確実に成功に導くためには、豊富な経験と専門知識を持つパートナーと連携することが不可欠です。

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